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執筆者の写真keikouto59

身体考4

更新日:2019年4月4日

患者さんの身体に触れることについて生理学的に考えてみると、皮膚にはパチニ小体やマイスナー小体といった感覚受容器が存在し、そこに圧力が加わると触覚としてのインパルスが発生し、感覚神経を経由して脊髄の後根に伝えられます。


この感覚受容器からのインパルスはアナログ的なものではなく、デジタルなものであって、触れた瞬間に多くのインパルスが発せられます。そしてそれが長く続くと、次第にそのインパルスの発射間隔が延び、最終的には以前の状態に戻ります。すなわち触れていると感じなくなります。

これは腕時計をしたときの事を考えると分かりやすく時計を腕に付けたときにはその重さを感じますが、時間の経過と共に感じなくなると言うのと同じものです。

どの様な穏やかな刺激であっても、それが最初に身体に加えられたときには刺激として作用します。ですから、患者さんへの接触の仕方を注意しないと触ることだけでも過度な刺激を与えることになります。


治療を続けると次にその刺激は抑制として作用します。圧力を加えたときの組織の反応が、わずかに変化するだけです。しかし、その刺激を入れるポイント、刺激の強弱、質(エリア、時間など)の種類によって身体全体に及ぼす影響、変化が変わってきます。     それはテンセグリティの考え方と一致します。1カ所に何らかの変化が起きれば、それは張力線を通じて全身に影響が及びます。


例えば、青森の有名な「ねぶた」の張りぼては芯となる支柱を角材で作り今でこそ針金を用いていますが昔は竹と糸だったそうです。それに奉書紙を貼りあの張りぼては出来上がっているそうです。私にとって身体は将に支柱(骨盤、脊柱、四肢)に支えられたねぶたの張りぼてのようなイメージでそれが風船のように外部から押すと内部の圧力が変化して他所にその影響が出るような感じです。 このようにわずかな刺激であってもそれは全体に影響を及ぼしてしまいます。

特に末期癌や重篤な状態の患者さんに、全身へのフルコースは患者さんに我々が触れることによって、それは刺激として身体に取り込まれるのですから禁忌です。そうすると患者さんはそれに対して生理学的に反応しなければならなくなり、ただでさえ生命力が枯渇している状態では、治療によって逆に患者さんの生命力を強制的に減少させてしまうことになるからです。


私達が体調が悪いときのことを考えて欲しいと思います。人混みに出かけたいとは思わないでしょうし、誰にも会いたくないと感じるのは、そういった刺激によっても生命力が減少するからです。ですから刺激量は最小限が大切なのです。このことは、在宅で経験した重症患者さんへの施術が刺激量の少ない軽擦しかできなかった理由がこれでした。


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